ランの世界
―その魅力・希少種の保護・鑑賞と栽培―講座終了
講座概要
講座番号 | 13120016 |
---|---|
期間 | 2013年4月8日 ~ 2013年6月24日 |
回数 | 10回 |
曜日 | 月 |
時間 | 18:30~20:00 |
定員 | 40名 |
通常会員料金 | 10,000円 |
明大カード・福利厚生会員料金 | 9,000円 |
学生・生徒・教職員会員料金 | 5,000円 |
法人会員料金 | 8,000円 |
キャンパス | 駿河台キャンパス |
アカデミー・ポイント リベラルアーツ |
2 AP |
講座趣旨
ランは魅力と不思議さにあふれた植物です。ラン科植物は、高等植物の中でも最も遅く進化した植物とされており、その生態にもきわだった特徴があります。樹木に着生するラン、高山の岩場に生きるラン、湿地の中で花を咲かせるラン、都会の芝生に生えてくるランなど生育環境も多岐にわたっており、特殊な環境適応能力をもっています。
この講座では、日本に自生している野生ランだけではなく世界各地のランを題材に、その魅力と不思議な生態について解説します。また、絶滅の危機に瀕している希少な野生ランを保護するためのフィールドワークの現状と問題点についても触れます。それと同時に、江戸時代から続いてきた古典園芸としてのランの鑑賞法やラン鉢の魅力を紹介し、また、既に栽培方法や増殖方法等が確立されている野生ランの上手な育て方を解説します。
日本の素晴らしい野生ランの重要性を認識し、植物学、生態学、遺伝子工学等の基本理論を正しく理解すると同時に、野生ランの自生環境について考え、ランの栽培に関する合理的な方法を会得し、かつ、ランをめぐる様々な法律問題について考えた上で、これらを総合してよりよい保護の方法を模索することが大事です。
この講座では、ランの研究、保護、栽培等に長年取り組んできた専門家講師から、これらの事項についてわかりやすい講義をします。
ランの生態や栽培に興味・関心のある方、これから山野草や野生ランと親しもうと考えている方、植物学や自然環境保護等に興味をもつ学生など。初心者の方も歓迎です。
講義概要
日付 | 内容 | 各回の詳細 | 担当講師 | |
---|---|---|---|---|
1 | 2013/04/08(月) | 蘭学事始 | 遊川 | |
2 | 2013/04/15(月) | ランの変異個体・突然変異の不思議 | 三橋 | |
3 | 2013/04/22(月) | 野生ランの新しい栽培法 | 小田倉 | |
4 | 2013/05/13(月) | 日本の蘭栽培の歴史 | 大橋 | |
5 | 2013/05/20(月) | ランの遺伝子研究 | 半田 | |
6 | 2013/05/27(月) | スリッパー・オーキッズとその栽培管理 | 望月 | |
7 | 2013/06/03(月) | 植物生理学と簡易植物工場によるラン栽培 | 石井 | |
8 | 2013/06/10(月) | 野生ランの実生フラスコ栽培 | 倉田 | |
9 | 2013/06/17(月) | ラン・ネットワークの保護活動(2012年~2013年) | 大貫 | |
10 | 2013/06/24(月) | 漢方薬としてのランの利用と法律に関する話題 | 夏井 |
教材
当日配布レジュメのほか、東京山草会ラン・ユリ部会編『ふやして楽しむ野生ラン』(農山漁村文化協会,2001)
講師紹介
夏井 高人
(ナツイ タカト)
コーディネータ・明治大学法学部教授・弁護士
「植物分類体系の変化が法制度に与える影響-大麻規制法令を中心とする考察」、「狸狢事件判決再考」、「ランと法律」などの著書・論文がある。明治大学法学部「法と情報コース」の主任教授として関連科目を担当するほか、「植物と法」という講義科目も担当。
遊川 知久
(ユカワ トモヒサ)
国立科学博物館 多様性解析・保全研究グループ長
『英国王立園芸協会A-Z園芸植物百科事典』(翻訳分担:誠文堂新光社,2003)、「日本の植物園における絶滅危惧植物の保有状況とこれからの取り組み」、「ラン科植物の野外播種試験法-土壌中における共生菌相の探索を目的として-」、など著書・論文多数がある。
半田 高
(ハンダ タカシ)
明治大学農学部教授(農学博士)
遺伝資源、遺伝子マーカー、花の香りなどを中心に研究している。『食料科学バイオテクノロジー』(培風館,1989年) 、「Dendrobium属の分子系統解析」「セッコクの花器官形成遺伝子」など多数の著書・論文がある。
望月 信和
(モチヅキ ノブカズ)
望月蘭園代表
日本洋蘭農業協同組合理事、正審査員、世界蘭展日本大賞(東京ドーム蘭展)組織員及び審査員、「パフィオフォーラム・ひぬま」主宰。ランの専門誌にランの生態及び栽培に関する多数の論文・講演等がある。
小田倉 正圀
(オダクラ マサクニ)
東京山草会会長
朝日カルチャーセンター講師、NHK趣味の園芸講師、世界蘭展日本大賞(東京ドーム蘭展)キャプテン審査員、日草展実行委員長などを歴任。『日本の野生ラン』(主婦と生活社、1979)、『野生蘭の栽培と増殖』(池田書店、1988)、『野生ランを楽しむ』(朝日新聞社、1990)、『ふやして楽しむ野生ラン』(農文協、2000)など多数の著書がある。
三橋 俊治
(ミツハシ シュンジ)
伝統園芸鉢作家・東京山草会ラン・ユリ部会部長・ラン・ネットワーク副代表
ランの栽培に用いる伝統園芸鉢の復元及び創作のかたわら,野生植物の栽培と希少ランの保護に努めてきた。『初めての野生ラン-失敗しない育て方』(主婦と生活社,1990),『野生ラン変異事典-変わり花と斑入り葉173種』(月刊さつき研究社,1985)など多数の著書がある。2002年には英国のRoyal Horticultural Society(RHS)において受賞するなど国際的評価も高い。
大橋 秀昭
(オオハシ ヒデアキ)
植物文化史研究家・東京山草会運営委員・同ラン・ユリ部会幹事
山野草の栽培に関して豊富な経験を有し、日本だけではなく海外の山野草にも詳しい。『身近な山野草-育て方のコツ』(主婦の友社、1981)、『めずらしい野生蘭-花の変異・葉芸の魅力』(池田書店、1988)、『種から楽しむ山野草』(農山漁村文化協会、2004)、『最新の野生ラン全科』(新企画出版局、1987)、『野の花・山の花観察図鑑』(主婦の友社、2008)など多数の著書がある。
大貫 一夫
(オオヌキ カズオ)
ラン・ネットワーク幹事(井の頭公園担当)
内外の野生ランについて詳しく、自らラン科植物を栽培しつつ、絶滅に瀕している野生ランの保護活動に積極的にとりくみ、とりわけ井の頭公園における野生ランの保護増殖活動の中心的な役割を担ってきた。
倉田 英司
(クラタ ヒデシ)
東京山草会事務局長
野生ランのフラスコ培養や野生ラン自生地における保全と保護にとりくんできた。蘭鉢の継承にも取り組んでいる。
石井 佑基
(イシイ ユウキ)
東京山草会ラン・ユリ部会幹事
「赤色ならびに青色発光ダイオード下において栽培したペチュニアとシロイヌナズナの花成関連遺伝子発現に関する解析」(共著)などの論文のほか、「ワインセラー栽培」などの著述が多数ある。ランの生理学に関する研究成果をもとに、マンションなど本来はランの栽培に適しない場所でのラン栽培の実験に取り組んでいる。